H O M E
会 長 あ い さ つ
舌 癒 着 症 っ て?
体 験 談
ス タ ッ フ
関 連 リ ン ク

 

会長のあいさつ


あでるさあくる@HappyBreath
花堂純次

私が2008年3月にこの手術を受けてからそろそろ一年が経つ。多くの体験談同様、今も想像していた以上に多大な恩恵をこうむっている。

まず第一に挙げられるのは近年の悩みだった睡眠時無呼吸症が完治したことだろう。今でも多少のイビキはかいている。だが毎朝の口の乾きや、日中の説明しがたい眠気やだるさからはすっかり解放された。原因の全てが舌癒着症にあったわけではないだろうが、かなりの体力自慢だった私が、40代後半からめっきり無理が効きにくくなったのは、今思えばやはり無呼吸症が原因だったとしか思えない。それほどの変化だった。
今、自分の体力は確かに10年前の実感があるし回復力も昔に戻った感覚だ。まさにアンチエイジング効果だろう。映画監督という職業柄なのか、何事もとことん追求したい性分である。この会を立ち上げることに向かっていった理由が、まさにその体感から生まれているのだ。この手術によるとんでもない効果は、いったい何から生まれるのか?ほんのわずか、上唇の裏と舌の下側を切ったに過ぎない手術なのにだ。そこで、自分で手の届く範囲、様々な文献や資料を手当たり次第に調べてみた。そして驚くことがわかってきた。
何より、手術による日常的な呼吸の改善は酸素の吸収率を飛躍的に高める。
舌の位置が悪かったために狭くなっていた喉が楽になり、そのため、無意識に行っていた「顎を突き出す」という姿勢の必要が無くなる。術後、瞬間的に姿勢が良くなるのは、そういう訳である。

辛い呼吸のために無理をしていた全身の筋肉の緊張が一気に取れる。だから、まだ体に悪い癖の出来上がっていない赤ちゃんや幼児ほど劇的な変化が生まれる。しかし逆に大人は大変である。過去の悪しき遺産(悪しき口呼吸など)のために、せっかく手術を受けても、身体が長年慣れた「悪い姿勢」へ無意識に戻りたがるのだ。
解剖学によると、舌は第三の前足として発達、進化したとも言われている。捕食動作を助ける、いわば人間の手の代わりである。両生類のカエルや四足動物のキリンをおもい浮かべれば、すぐにわかるだろう。飛び出して餌をとり、器用に葉っぱをからめとって口に入れるあの仕草だ。つまり、舌は前へ前へと突き出すように進化したのだ。四つ足動物にとってはそれが、有効だったから。だがそこから唯一、「二足歩行」となった人間にとっては、その舌の進化のために、逆に厄介な問題を抱えることになったのだ。前に付いた舌がその位置とサイズと重みのために喉を圧迫する・・・それが、発生学や解剖学からみた舌癒着症の原因ではないかとされている。もちろん、私は医者でもないし学者でもない。だが、直感がこの事実を間違いないと告げている。
もうひとつ、監督という職業から見て発見したことがある。上唇裏の手術は呼吸の改善だけでなく、思いがけない副産物をもたらした。顔が変わったのだ。
ただ、変化したのではない。上唇の癒着の度合いは個人差が激しいが、固くついている人ほど、上唇が動きにくい。つまり口の周辺の表情筋の動きが乏しいのだ。分かりやすく言えば、生まれつき「笑顔が下手」である。当然、そこに繋がる頬の筋肉も使わないから頬全体が、扁平でふっくらしていない。表情に乏しい顔を作り上げているといってもいい。このことが、どういう違いをもたらすか、想像してみてほしい。わざわざ心理学を応用しなくとも、コミュニケーションこそが、人の人生の可能性を引き出す鍵であることは周知の事実だ。まさに、「人生を変える」という意味では、舌癒着症の手術は、「生まれ変わり」に匹敵する新しい人生を与えてくれる可能性を持っているのだ。
もちろん、その変化は私自身にもはっきりと起こり続けている。それを今も享受し続けていると断言できるのだ。だから、この会を主宰することにしたのだ。決して興味だけではない。より多くの人たちに、この「チャンス」に出会ってほしいのだ。<自分が変われる>ということが、どれほどの価値を持つのか。私は、舌癒着症を知り得た事、そしてその手術を受けられた事に心から感謝している。

あと必要なのは、わずかな勇気だけなのだから。